第7章

絵里視点

幹部クラブは、軍隊の伝統が息づく要塞のようだった。

緊張で肩をこわばらせながらメインダイニングを横切っていく和也の後ろを、私は漂うようについていった。一番奥の隅にある個室ブースでは、中村崇之が待っていた。

椅子に腰かけているというのに、中村は圧倒的な存在感を放っていた。寸分の隙もなく着こなされた礼装には、勲章や略綬がずらりと並び、午後の光を弾いている。

だが、私が思わず身を引いたのは、彼の瞳のせいだった。そこには、喪失がさらに醜い何かにねじ曲がった末に生まれる、冷たい怒りが燃え盛っていた。

和也はまるで処刑台に向かうかのように、そのテーブルへ近づいていく。

「...

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